アダルトビデオ(AV)への出演被害を救済するため、超党派の議員がまとめた新法をめぐって、議論が熱を帯びている。法案は25日にも提案され、今国会中の6月初めの成立が目指されている。長年この問題に取り組む団体は成立を歓迎するが、懸念の声もある。何が問題なのか。
問題となっているのは、「AV出演被害防止・救済法」(AV新法)。法制化のきっかけは、民法改正で4月から成人年齢が18歳に引き下げられたことだ。
民法は、未成年が親の同意を得ずに結んだ契約を取り消せる「未成年者取り消し権」を認めている。3月まではこの規定で、親の同意なく出演した商品の回収や販売中止などができた。だが、18、19歳に適用できなくなったため、高校生らの被害が増えると心配した支援団体が取り消し権の復活を求めていた。
4月に与党プロジェクトチーム(PT)ができ、18、19歳の取り消し権の復活は見送ったが、年齢にかかわらず商品の公表後1年間は無条件に契約を解除できることを柱とした素案をまとめた。
6月初めの成立を目指している議員立法の「AV出演被害防止・救済法」(AV新法)をめぐっては、これまで女性たちを支援してきた人たちの間でも意見が分かれています。「画期的な法律」と評価して今国会での成立を望む人たちがいる一方で、議論が拙速すぎるという人たちもいます。記事の後半では、「もっと丁寧な議論」を求める人たちの懸念や危惧についてお伝えします。
■「被害者の尊厳や人権を守る…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル